食材にこだわる
食生活は豊かになっているがその内容は,必ずしもよいとは言えずさまざまな問題が指摘されている。生きるうえでもっとも大切で基本的なことが軽く考えられており,安易に自分の好きなものを手軽に選んで食してしまう。
飽食の時代においてなんでも食べることができるためか,味には敏感で新しいものには興味を示していく。しかし,何をどのように食べることがよいのか,食べることで体にどんな影響を与えるのかなど考えて口にすることは少ない。そんな時代だからこそ生活者として,消費者として自分の食べるものを主体的に考え選んでいく力が必要である。
食物は豊富にあるがその内容は非常に乏しい。食材本来の味になかなかめぐり合えない。そんな食事情の中でなにかに気づいてほしいと願い本題材を取り上げた。簡単な実験や実習を取り入れ科学的な見方や考え方を示唆するのはもちろんのこと,目で見て,味わって,体験することで授業に対する意欲も高めることができると思われる。
本時の学習では身近な食材(りんご)を使い簡単な実習を行いながら食品の重さ,包丁やおろしがねの使い方,手作りジュースの作り方,市販品との比較,添加物について,本物の味や購入についてなどさまざまな視点から考えさせたい。
授業の前半はりんごジュース作りの実習である。「ジュースを作ることができる」が主たる目標ではないので皮むきの経験のない生徒には援助し次の学習活動ができるようにする。また,すりおろす作業ではおろしがねだけでなくジューサーなども使い効率化を図りたい。
話し合いやまとめでは前にも述べたようにさまざまな視点から考えることのできる題材なのでいろいろな考えが出ることが予想される。どんな考えも大切にしたい。実験・観察をしながらお互いに話し合うなかで食品添加物まで気づくことができれば授業の目標はほぼ達成できたと考えたい。そして,次時の学習でその使用目的,安全性,問題点などについて理解させ,日常生活に生かす実践力をつけたい。
(1) 目標
・ 安全や衛生に気をつけて作業をしようとしている。(関心・意欲・態度)
・ りんごジュースの作り方を知り,作ることができる。(技能)
・ 市販のりんごジュースと手作りりんごジュースを比較し,違いを考えまとめることができる。(知識・理解)
・ 手作りと市販品を比較しながら食品添加物に気づき,関心を持つことができる。(関心・意欲・態度)
(2) 展開
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予想される生徒の反応 | ||||
つかむ | ・前時の学習内容を発表させる。 | ・前時の学習内容を思い出す。 |
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・前時に学習した加工食品について思い出させ,本時の学習課題へとつなげる。 | |
課題 りんごジュースを作り市販品と比較し違いを見つけよう。 | |||||
追求する |
・りんごジュースの作り方を説明する。
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・りんごジュースの作り方の説明を聞く。 [作り方] @重さを計る。 A皮をむく。 Bおろす。 Cしぼる。 D容量を量る。 |
・作業におくれがでてしまった班は,すりおろす作業はミキサーを使うよう助言しておく。
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・りんごジュースの作り方の要点を理解し包丁やはかり,おろしがねなどの調理器具の適切な扱い方がわかる。 (観察)
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・安全に留意し,りんごジュース作りを始めよう。 |
・りんごジュース作りを行う。 (1)プリントに計量の結果を記入する。 (2)りんごの皮をむき,すりおろし絞る。 (3)しぼったりんごの汁を量りプリントに記録する。 |
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・作業の安全,各班の進行状況を確認しながら机間指導をし,おくれている生徒や戸惑っている生徒の支援をする。
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・皮をむく,おろす,絞る。はかるを適切に行いりんごジュースを作ることができる。 (観察)
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・安全に・できあがったりんごジュースと市販のりんごジュースを比較し,その違いをプリントにまとめよう。 ・気づいたことを2〜3 名の生徒に発表させる。 |
・試飲をし,比較した結果をプリントにまとめ発表する。
*市販品のほうがおいしい。 *色やかおりが違う。
*作るのが大変。
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個別 |
・どんなことでもよいので記録するように助言する。
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・実験結果を班で共有しながら自分なりに気づいたことを記入できる。 (記述)
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まとめ | ・本時の学習の感想も含め学習のまとめをさせる。 |
・学習のまとめをする。 *実習が楽しかった。 *手作りと市販品の違いがわかった。 *添加物について調べたい。 |
個別 |
・食品添加物に関心を持った生徒に感想を発表させ次時の学習の意欲へとつなげたい。 |