第52回全日本中学校技術・家庭科研究大会
第52回関東甲信越地区中学校技術・家庭科研究大会
第5分科会「A 家族・家庭と子どもの成長」    


会場:野田市立北部中学校

1.公開授業の様子

・本時の題材 「幼児と触れあおう(家庭科分野A 家族・家庭と子どもの成長)」)

・授業の概要

 幼児とかかわりが少ない中学生に,2回の触れ合い体験を実施し,人とよりよくかかわるための力を育てるこ
とを研究してきた。1回目の触れ合い体験にむけて、班毎に発達段階の課題を設定して予想を立てさせ,る。2回
目の遊び道具を持参しての触れ合い体験では,さらによいかかわりができるための手だてについて、話し合い
活動を工夫するところである。

1回目のグループ学習 どのような考えが出たか机間指導
自分たちの工夫について発表 グループの作戦を実物投影機で発表

2.授業研究・提案発表



・授業者の反省(流山市立東部中学校 松村 悠子 教諭)

3年前より授業準備を行ってきた。初めは、保育園へ触れ合い体験に行ったが、その保育園が閉園に
なってしまった。そのため中学校のできるだけ近く卒業生の多い幼稚園で、昨年度から触れ合い体験を
実施できるようになった

・提案・発表 「確かな知識と技術を身に付け,人とよりよく関わるための力を育む学習指導の在り方 −言語活動を充実させた触れ合い体験学習を通して−」
         (我孫子市立我孫子中学校 松尾 純子 教諭・我孫子市立湖北台中学校 室屋  智子 教諭)

 研究内容は指導計画の見直しや指導方法の工夫改善、評価の工夫改善を重視した。特に指導方法の話し合い活動では、6つの言語活動の手法を意識して実践を行った。また、視聴覚教材や体験発表会の設定、触れ合い方の工夫(人形劇・太巻き寿司作り)などの実践も行ってきた。評価については、1時間毎の評価項目を1〜2に絞り、評価基準を基にワークシートを作成した。これにより生徒が評価内容や場面・方法について分かり、総合評価に繋がることができた。
成果については、事前事後のマッピングで生徒の幼児理解が深まったことが分かり、また,事後の感想により地域の人と挨拶やボランティアに参加したいという意欲が見られた。

・質疑応答
 幼稚園との交流の仕方や時間数、年齢ごとのグループをつくった理由、授業で用いたアニメなどについて質問があった。

・指導・助言

 千葉大学教育学部准教授 中山 節子 先生
 
 知識や情報を得やすい社会で生きる子ども達に対して、今学んだことをこれからの生活に活かす事や体験を生活へ還元していくための繰り返しが重要であることなどについてご指導いただいた。


 船橋市立若松中学校教頭 井川 富美子 先生

 2回の触れ合い体験を実施する意義について、中学校・幼稚園 (保育園)両方が認識することの必要性や評価の計画の重要性についてご指導いただいた。

3.提案発表・研究協議

 提案発表
・提案@「人との関わりを意識し,よりよい生活を実践しようとする授業の工夫」
(栃木県 小山市立小山中学校 玉野 直子 教諭)

 研究のねらいは、人と 関わることのよさに気づかせ、実践の意欲を高めたいと考え、主題を設定した。研究内容は (1)ABCDの指導において、「自分」から「家族」、「地域」へと考える題材配列を工夫した。 また(2)「生活の課題と実践」の指導の中で、人との関わりを学び合う「深める」「広げる」 「継続する」の3つのキーワードを視点とさせた。これにより、家庭や地域での実践を常に 意識させ、よく関わって実践したいという意欲化に繋がり、幅広い対象者に向けた実践を しようとする姿が見られた。

・提案A「持続可能なよりよい生活や社会をめざし,家庭生活をよりよくしようとする生徒の育成 ー家族や地域の人とのかかわりを通して,人とよりよくかかわる能力の育成をめざした指導の工夫ー」
(東京都 あきる野市立東中学校 久保 篤 教諭)

 本研究は、地域とのかかわりに付いて考えさせる指導計画の工夫、ガイダンスシートの題材毎の まとめについて進めてきた。研究内容は、さらに地域の一員として自分を考える体験活動 や幼児との触れ合い体験の活動を重視したことである。

 研究協議
・提案@について、生活の実践と課題についての実践例を知りたいなどの質問があった。

・提案Aについて、研究しているガイダンスシートやガイダンスにかける時間数についての質問があった。


 指導助言
・宇都宮大学教育学部教授 赤塚 朋子 先生

 「人と物と命」を意識して「課題と実践」に取り組んでいること、学んだことを生活に活かし続ける力が家庭科に求められる力であること、いつも関わっている「人」を教材にして、さらに地域との関わりを広げていくことなどについてご指導いただたいた。

・前昭島市立清泉中学校長 小谷野 茂美 先生

 Aの内容と体験学習は関係が深いこと、現場の教員のできる研究を地道にやることが重要性、子どもの感想でなく、客観的な評価をするための工夫が重要であることなどについてご指導いただいた。