第52回全日本中学校技術・家庭科研究大会
第52回関東甲信越地区中学校技術・家庭科研究大会
第6分科会「B 食生活と自立」    


会場:佐倉市立佐倉中学校

1.公開授業の様子

・本時の題材 「目指せ、BESTな献立1日分」 (家庭分野 「B 食生活と自立」)

・授業の概要

1年生の献立学習の最終段階である。献立作成の手順や栄養のバランスの見方を踏まえた上で、友達の意見を参考に1日分の献立としてバランスのよい献立にするために献立学習教材「献立クローバー」を活用した。これにより、栄養のバランスを視覚的にとらえ、1食分の食事をイメージし、料理や食品を意識させながら献立を検討・修正をする。この学習を通して「健康で豊かな食生活を送るためには、何をどれだけ、どの様に食べればよいか」を考え、自ら食事を整えていく力を身につけさせる。

左上:ベースとなる体育館での授業展開
右上:自分の考えた献立を発表している様子
左下:グループで献立の検討・修正の様子

2.授業研究・提案発表


・授業者の反省(佐倉市立佐倉中学校 細川 浩美 教諭 ・ 佐倉中学校栄養士 前原 聡子 栄養士)

献立学習、1年の食の学習のまとめとして本日の授業を行った。給食が自校方式のため密接な関わりを持って学習を進めた。栄養・食品・調理の学習の関連を生かして授業をした。教科と連携した食育の大切さを感じた。


・提案・発表 「栄養・食品・調理の知識と調理技術習得を関連させ、食事を整える力を育む学習指導の在り方 〜献立学習を通して〜」
         (四街道市立四街道西中学校 小出 清美 教諭 ・ 四街道市立四街道北中学校 中野 博子 教諭)

栄養・食品・調理の関連づけた献立学習を行い食事を整える力を身につけることをねらいとした。指導法の工夫改善として献立クローバーを活用。6群に分けシールを貼ることで栄養のバランスや食材が一目でわかる。栄養・食品・調理の学習を繰り返し行うことで相乗効果を上げ、食事を整える力を育むことができた。



・質疑応答
献立クローバーで理想の形をどの様に指導するすればよいか質問があった。目安については事前に指導しており、量の数値的なことはこれからも研究を続けるとのことだった。


・指導・助言
 千葉大学教育学部 教授 石井 克枝 先生

献立の学習は、難しい。今の子どもは食材や食品がわからなくなっている。具体的に考えることは難しい。そのため、食品・栄養・調理の学習を繰り返し学習することで子どもたちのレベルで献立を検討することができる。献立クローバーの量については、まず概量でとらえ、食事の全体像をとらえてから、数値もとらえられるようにすればよい。

 千葉県北総教育事務所 指導主事 野村 英二 先生

代表の発表を全員が意欲的に聞いて答えていた。今までの学習が生かされた話し合い活動がなされていた。題材の配列が工夫され、繰り返し学習することで定着していた。献立クローバーは、シールでパッとわかりとても使いやすい。評価では、更にAの規準をどこにもっていくのか研究を続けてください。

3.提案発表・研究協議

 提案発表
・提案@「家庭実践へつなぐ学習指導の工夫 〜習得した知識・技能を生かした食事づくり〜」
     (長野県 技術・家庭科教育研究会 塩尻市立丘中学校 酒井 真琴 先生)

学習と家庭をつなぐ実践として「手作り弁当の日」を設けた。栄養士とのT.T、学習カードの工夫、家庭との連携を行い学校で学習したことを生かして手作り弁当を作ることができた。


・提案A「生活や社会との関わり深める技術・家庭科教育 〜中学校1学年「食生活と自立 賢く選んで調理しよう」における食品選択の授業を通して〜」
     (茨城県 県東地区技術・家庭科教育研究部 鉾田市立大洋中学校 猪俣 友子 教諭)

食品を正しく選択する力を養うための実践。教材として食の達人の軌跡やクックブック、ワークシートを作成している。成果として食を通して生活とどの様に関わるべきか考えるようにする生徒が増加した。



 研究協議
提案@について、弁当を作る前の調理実習の回数(7回)や、弁当づくりを年に何回、いつ頃行うか(年1回、11月頃)という質問があった。

提案Aについて、何時間学習するか(2年10時間)や鯖料理はどの様な調理をするか、鯖を選んだ理由などについて質問があった。



 指導助言
・林 理恵 先生(長野県東信教育事務所 指導主事)

長野県は教科をまたいで授業改善を行っている。授業がもっとよくなる3観点として「ねらい、めりはり、見とどけ」をかかげ授業改善に取り組んでいる。長野県は健康長寿の県であり、食育に力を入れている。栄養教諭とのT.Tや郷土料理作り、計画表の充実を図っている。


・川又 祥子 先生(茨城県教育研修センター 指導主事)

茨城県は、食材を買う店が近くにないところもある。そのため、肉や魚を買う経験がない生徒もいるので、食品選択の力が必要と考えた。このように地域の実態に合わせて指導することが大切。