題材例 実践的・体験的な授業の展開

〜乳幼児とのふれあいを通して〜

 

◎題材について

 子供たちの環境を見ると、家庭や地域の中で中学生が乳幼児とふれあうチャンスはほとんどない。そこで実際に乳幼児とふれあう機会を何度か設けて、身体的・精神的発達についてより深く理解し、乳幼児と関ろうとする能力と態度を育て、そこから生きていることの喜びや命の大切さ、かけがえのなさを学び取らせたい。

 そのために、ゲストティーチャ―の話を聞いたり、赤ちゃん人形に触れたりすることにより、乳幼児の成長についての理解を深めることができると考えた。

◎指導計画

(家庭や地域との関わり)

項 目

学 習 内 容

時配
○中学生になるまで

 1わたしの成長と周囲の人びと

 2生命の誕生

3乳幼児の生活

 

     自分史レポートを作ろう

     命の始まりを考えよう

赤ちゃん人形を抱いてみよう

←実践例14/17

○子どもの成長

 1幼児の遊び

 2体の発達

 3心の発達

 4生活習慣を身につける

     課題学習  ・テーマ決定

・調べ学習

・発表会

     乳幼児とふれ合おう

      ←実践例2(9/17

1

○幼児との交流

 1幼児の喜ぶものを作ろう

 2幼稚園へ行ってみよう

 

     おもちゃの製作

     訪問計画

幼稚園訪問

1

○子どもと家族や周囲の人びと

 1子どもと家族のかかわり

 2子どもの成長を支えよう

     子どもを取り巻く環境について考えよう

○学習を終えて      学習のまとめ、事後アンケート  

 

◎授業実践

【実践例1】赤ちゃん人形を抱いてみよう

1 本時の指導(4/17)

(1)目標

@赤ちゃん人形を使った実習に積極的に参加することができる。

A乳児の特徴と生活を知り、周囲とのかかわりの大切さに気づく。

(2)展開                          ○支援 ☆評価

過程目標(時間)

学習内容と活動

支援と評価

○乳児の特徴をつかむ。

(5) 

○乳児についての疑問点を考える。     (5)         

○乳児の体と生活について知る。 

10

○赤ちゃんに触れ、着替えの実習体験を行う。    (25

まとめをする(5)

1乳児はどんな特徴があるのか、プリントにある赤ちゃんの絵に書き込む。
乳児はどんな生活をし

ているのか、考えてみ

よう。

2提示した問題について自分の考えをまとめ発表する。

<赤ちゃんの不思議>

・赤ちゃんがよく泣くのはなぜ

・良く寝るのはなぜ

・すぐ歩けないのはなぜ

・どんなものを食べるの

3保健婦さんを紹介し、乳児の体と生活についての話を聞く。

赤ちゃんを抱いてみよう。

4一人一人抱っこをしてみる。

5保健婦さんによる実技指導

・抱っこのしかた

 ・着替え、オムツの替え方

6班ごとに着替え、オムツ替えをやってみる。

7授業の感想をまとめる。

○自分のもっている知識から、乳児のイメージを膨らませるため自由に書き込むよう助言する。

○前時に乳児についてのアンケートを取り疑問点を絞っておく。

○乳児について関心を持ち、特徴をつかませるため多くの意見を引き出させるよう支援をする。

○生まれたばかりの赤ちゃんも意思表示をし、成長発達をすることに一生懸命であるということに注目させる。

☆乳児の体と生活について理解することができたか。

○実物大の赤ちゃん人形を3体用意し、多くの生徒が触れることのできるよう配慮する。

○重さや感触はどうか、生徒の感想を大切にする。

○赤ちゃんの扱いに気をつけると同時に、大人の語りかけも大切なことを伝える。

○一人一人が実習に参加できるようグループをまわり、支援する。

☆赤ちゃん人形を使った実習に進んで参加することができたか。

〈考察〉

 実際に赤ちゃんに触れた機会の少ない子どもが多いため、赤ちゃん人形を生徒に抱いてもらうことにした。(大きさ、重さは新生児の実物大。やわらかさも本物に近くかわいらしい)その際にただ抱くだけではなく、以前おむつ交換もやってみたいという生徒もいたので、町の保健婦さんを講師に迎え、赤ちゃんの体や生活について話をしていただき実習を行った。最初は男子の中に照れて人形に触らない生徒もいたが、頭をさわったり、手を握ったりしながらすべての生徒が人形を抱いてみることができた。ほぼ実物に近い人形なので、その重さややわらかさを実感することができたようだった。休み時間まで人形を抱いて、職員室に運んでくれた生徒もいた。また、講師による授業ということで生徒には新鮮で、意欲的に授業に取り組めたようだった。今回きていただいた保健婦さんは、10年以上勤務されているため、この学年の生徒の幼少期をよく知っている。授業の中でも赤ちゃんのころの様子が紹介され、授業の雰囲気がなごみたいへんよかった。

【実践例2】乳幼児と触れ合おう

1 本時の指導 (9/17)

(1)目標

@ 赤ちゃんや幼児と遊ぶことができる。

A 乳幼児の身体的な特徴や精神的な発達について調べたことをより深く理解できる。

(2)展開                           ○支援 ☆評価

 

過程目標(時間)

学 習 活 動 と 内 容

 
 

乳幼児の体の特徴を知ることができる。

      (8)

 

 

 

 

 

 

 

 

○実際の乳幼児の様子を知ることができる

     (5)

 

 

○保護者の子どもへの思いを知ることができる。        (10)

 

 

 

本時の学習課題の確認をする。

8ヶ月の乳児,3才,4才の幼児の体の特徴を確認する。

前時に調べたことをグル−プごとに前へ出て発表する。(3つのグル−プ)

・頭が大きい(4頭身くらい)

・標準の体重は7〜8kg

・おすわりができるようになる

・一語文(ワンワン,マンマ)            がいえる

・標準的な身長,体重

・言葉の発達や体の動きについて

・自我の芽生え,反抗期

実際の赤ちゃんや幼児の様子を知る。

  ・からだの大きさ

  ・からだの動かし方

  ・ことばの話し方

保護者の方へインタビューをする。  (3つのグル−プ)

  ・妊娠中の様子

  ・出産の際の感動

  ・名前の由来

  ・子育ての苦労

  ・どんな子どもに育ってほしいか

○保護者の方と3人の男の子に心をこめて挨拶するよう助言する。

Aさん(おかあさん)

B君 (4才)

C君 (3才)

D君 (8ヶ月)

身長や体重は個人差が大きいことを知らせる。

ことばの話しかけなど、環境の大切さにも気づかせたい。

特に、8ヶ月の乳児が緊張してしまわないように、なごやかな雰囲気が作れるようにする。 

現在の自分自身の体位と比較し大きな成長に気づかせたい。 

グル−プの中で全員が発表できるよう配慮する。

   

乳幼児と共に遊ぶことができる。

    (15) 

 

 

 

 

○乳幼児についての理解を深めることができる。 (12)

 

 

 

 

 

 

 

乳幼児と遊んでみよう。

・キ−ボ−ドで一緒に歌う

・絵本を読む

・怪獣のおもちゃで遊ぶなど  

 

保護者の方からの、クラスの子どもたちへ向けたメッセ−ジを聞く。

本時の学習の感想を話し合う。

  ・2〜3名、感想を発表する。

保護者の方と3人の男の子に挨拶をする。

10次時の予告

 

子どもの目線で話すように声をかける。

安全にはくれぐれも注意するように促す。

乳幼児と積極的に関わりが持てたか。

○話し手の目を見て集中して聞かせる。

☆本時の学習の感想を自分の言葉で話すことができたか。

机上で調べたことと、実際に乳幼児と触れ合ってみたことをつなげて、自分なりの考えをまとめるよう助言する。

感謝の気持ちをこめて挨拶するよう助言する。

 
           

考察

乳幼児と殆ど接したことのない生徒たちに、幼稚園訪問の前に、ぜひ幼い子どもと接する機会をもたせ、乳幼児の身体的、精神的発達について調べたことをより深く理解させようと考え、ゲストティーチャーを招いての授業を行った。

生徒たちの中には、小さな子どもとどう接したらよいか、戸惑う者が多かったので、グループごとに「こんなおもちゃで、こんな風に遊んでみよう」とか「子どもの目線で言葉かけをしよう。」などと支援をしながら授業を進めた。活動が終わり感想では、幼い子どもの片言の言葉、笑顔、小さな手のさりげない仕草などに心を動かされる生徒が多く見られた。

 

◎資料(ワークシート)

みんなの質問から

Q1 なぜ生まれてすぐにオギャ―と泣くの。

Q2 生まれて1日で何グラム増えるの。

Q3 何でいつも寝てばかりいるの。

Q4 生まれるとへその緒はどうなるの。

Q5 言葉はいつ覚えるの。

Q6 目はいつ頃見えるの。

 

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