第4分科会情報とコンピュータU
会場  芝山町立芝山中学校

T 公開授業の概要
1 題材「職場体験学習をWebページで紹介しよう」
技術分野  内容B(5)
2 目標
・相互評価やGTからのアドバイスを受けて、見やすいWebページを完成させる。
・Webページの修正ができ、情報をわかりやすく伝えさせる。
3 授業展開



まず、始めに前時に行った相互評価をポイントを絞って指摘できたかを発表させた。このことから、多くの生徒が漠然とした判断規準の中で相互評価を行ったことを全体の課題として理解させ、具体的に見やすさ・わかりやすさのポイントを絞らせ発表させた。そこで「見やすくわかりやすいページをつくろう」という本時の学習目標を提示した。その後、GTからのアドバイスを聞かせ、「背景色と文字色の組み合わせを考える」「背景色は鮮やかでない色にする」「情報を見つけやすいページの構成を考える」等を重要項目として伝えて頂いた。そして、ディスプレイ右上に貼り付けた付箋紙を「そのまま採用」「修正して採用」「不採用」に分類させ、ワークブックに記入後、優先順位をつけさせた。GTからのアドバイス、生徒からのアドバイスを参考に前時まで作った、Webページの修正を行わせた。作業内容は「文字や背景の配色文字のフォント」「本文の内容の


修正」「写真の貼り付け」などで主に背景の配色やフォントを考え作業している生徒が大半であった。
作業が一段落したところで、2台のプロジェクタを使って作業前・後のページを比較しながら発表させた。授業の最後にはGTの感想やアドバイスを聞かせ、次時の学習意欲を高めさせた上で終了した。多くの先生方がおられる中、生徒達は落ち着いて作業に取り組んでいる姿が印象的であった。
U 授業研究・提案発表
1 授業説明
   芝山町立芝山中学校教諭    林  正浩
・ネットワーク(Server)の調子が悪く、データが読めないことがあり、うまくいかないことが多々あった。本時でも作ったデータの読み込みや保存がうまくいくか不安であった。
・本題材では「情報とコンピュータU」と「総合学習」のクロスカリキュラムで行った。「情報とコンピュータU」では内容(5)「マルティメディアの活用」、(6)「プログラム制御」は選択領域である。郡内では(6)を選択している学校もあるが少数である。その理由としては予算的な問題や、ロボットを生徒に購入させた場合は教材費が高価であるということ。また、時数的な問題やプログラム作成のみでは内容的に浅いとうことで(5)の「マルティメディアの活用」を選択した。
・題材の検討では、ものづくりと同じようにプロジェクト法で行った。

 題材を選択する際、「生徒が将来的に必要とする技術が盛り込まれているか」「指導内容を網羅しているか」等を検討した結果、今回はWebページづくりということになった。
2  提案発表
  大網白里町立増穂中学校教諭  竹澤 秀樹
    研究主題

 Webページの制作学習を通して、確かな知識と技能を身につけ、問題解決能力を育てる学習指導のあり方



(1)実態調査
 京都教育大学の森山潤先生の「技術科における学習意欲尺度テスト」と日本心理学会第63回大会発表文集の中で坂元昴先生の「情報活用の実践力尺度テスト」を採用した。
 学習意欲尺度テストの結果は、学習の中盤以降に生徒は、コンピュータ操作に対する新鮮味を低下させ、学習の意義も忘れかけていく、そして成就感や達成感が得られなくなっているという実態がわかった。一方、情報活用の実践力尺度については、全ての生徒がWebページを完成し、マルティメディアの活用に関する知識と技術を身に付けた後の事後テストではポイントが向上することを見込んでいたのだが、結果は、全ての因子が低下してしまった。学習意欲低下の原因は「知的好奇心」と「操作・活動への期待」が低下していることが原因となっていることが分かった。そして、情報活用能力の低下の原因は基礎・基本的な能力は向上しているのだが、生徒自身にそのことが実感されていない、すなわち消極的な自己評価感を持つ生徒が多いことから低下につながっていることが分かった。
(2)研究仮説
第1 「マルティメディアの活用を通して身につけさせたい
基礎的・基本的な知識と技術を明確に内容を高める指導過程を工夫すれば、確かな知識と技術が身につくであろう」
第2 「生徒の実態をふまえ、段階的に課題のレベルを高めていくような問題解決的な学習を工夫すれば、学習意欲が高まり、自ら課題を解決していく力を育むであろう」
第3  「自己評価活動と、教師による形式的な評価を積み重ねていることにより、自己評価能力が高まり主体的な学習活動が行われるであろう」
(3)研究内容1
仮説1の検証
@3年間を見通した全体指導計画の作成
A基礎・基本の洗い出し
B基礎・基本となる学習内容を、指導計画の中に系統立てて配したこと
C製作意欲が実感できる題材の検討
D学習内容の厳選
(4)研究内容2
仮説2の検証
@段階的に取り組める課題設定を工夫したこと
A自作テキストを自纂したこと
(5)研究内容3
@進度差に応じた指導と、形成的な評価を工夫したこと
A形成的な評価のためのツールとして、ワークと評価規準を作成したこと



(5)成果1
 基礎・基本となる事項を体系的に指導計画に組み入れたことで、全ての生徒がWebページを完成させ、基礎・基本の定着が図られた。
(6)成果2
 段階的に課題を設定したことと、テキストの活用により、生徒主体の学習が実現し、成果を上げることができた。

(7)成果3
 自己評価能力を高めるための工夫を指導計画の中に適切に配置し、評価規準に則して指導を加えることで、生徒の自己評価能力を高めるとともに、学習意欲を継続することができた。
(8)今後の課題
@情報とコンピュータUで扱う基礎・基本の幅をどこまで広く考えるか。
A段階の学習内容の定義が曖昧である。
B最適な規準づくりの検討。

3 研究協議
質: ゲストティーチャーの授業の割り合いと予算面はどのように行っているのか。
(山梨県)
応: 回数は合計3回来てもらっており、仕事の都合のつく中で行ってもらっている。
予算は特に出していない。
質: 1,本時の位置づけ15時間扱いでの何時 間目なのか。
2,前時、問題、課題、次の時間ではどん な願いか。
3,Webページとして扱うのは適正か。
(長野県)
応: 1,11/15
2,自分の作品と比べて総合評価をしている。修正をしたがる生徒もいる。他の生徒に言われると新鮮に感じている。
3,Webページだとネット上でも動かせるという利点がある。
感: いい授業だった。1時間のほとんどバックの画面について悩んでいる生徒もいた。
子供の願っていることとゲストティーチャーのねらいが合っていなかったのでは

V 提案発表・研究協議
1 茨城県神栖町立神栖中学校 教諭 高岡 成郎

研究主題
自ら課題を解決しようとする力を育てる学習指導の工夫
(1)はじめに
 生徒にとって身近な情報を題材にして、問題 解決的な学習を展開することにより学習意欲を高めたいと考えた。
(2)研究のねらい
 エネルギー変換を利用した作品の製作を通して、マルティメディアを活用する力を身に付けようとする学習指導の工夫を試みた。
(3)地域と生徒の実態から
 小中ともに「スタディノート」というグループウェアソフトが使われ、系統的なコンピュータの活用がなされている。
(4)研究の内容
 本研究では、「学びがい」のある学習素材としてエネルギー変換を利用した作品の製作を取り上げた。その理由として、これまでの学習ではマルティメディアの特徴と利用方法を、学校を紹介するといった教師が指定した題材で資料を収集、選択してプレゼンテーションの学習を行ってきた。しかし、これは生徒自ら求めたものではなく、教師に与えられた「学びがい」のもちにくい題材であると考えられ、とりかかりの遅さや内容が偏るなどの課題が生じていたからである。そのため、生徒がプレゼンターション用資料の制作に必要感やプレゼンテーションそのものに目的意識をもたせる素材を求めた。
(5)研究の成果と今後の課題
・エネルギー変換を利用した作品を制作しながらマルティメディアの学習を進めることで学習内容を補充しながら、自ら課題を解決しようとする力の育成を図ることができた。
・今回は素材としてエネルギー変換を利用した作品を取り上げたが、それ以外の素材についても検討し、幅広く効果的にマルティメディアを活用していけるようにしていきたい。

2 新潟県柿崎町立柿崎中学校 教諭 関原 和人

研究主題
「生きる力」を育てる学習過程や評価の工夫

(1)はじめに
 指導方法を工夫改善したりして、単元終了までに「努力を要する」生徒を可能な限り出さないようにする学習過程の工夫や学習活動における支援の工夫が必要だと考えた。
(2)研究のねらい
 指導と評価の一体化を進めることにより、多くの生徒が

基礎的・基本的な学習内容を身につけたり、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を得たりするための具体的な学習過程や評価のあり方を探った。
(3)研究の内容
@課題提示の工夫(手立て1)
 題材の目標や各段階ごとの目標に迫れるよう、学習のまとまりの最初に課題を明確に提示する。
A「マスター(達人)」の生徒を活躍させる学習過程の工夫(手立て2)
「マスター」と認定された生徒の活動を学習過程に位置づけ、生徒間の評価活動に活用したり、相互支援に活用したりする。
B生徒の実態・変容に即した
 生徒が新たな課題を発見し、題材の目標に追われるよう、教師が生徒の振り返りワークシートを紹介する。        (4)研究の成果と課題
・「マスター」として発表したり、教えて回るという学習過程をつくったことで、生徒が基礎的・基本的な学習内容や発展的な学習内容を習得するために自らすすんで学習し合う雰囲気をつくった。
・「マスター」による相互評価や相互支援を行う場合、「マスター」の認定による生徒のランク付けが学びあいの場としてふさわしいかどうかを検証する必要がある。
W質疑応答
(新潟県)
質: ポートフォリオをどのようにどれくらいの時間で行っているか。
応: 8班5,6人で行っている。子供達はスタディノートを使い慣れている。制作係、ポートフォリオ係に分けて作業を行っている。
質: ポートフォリオの意義づけ
応: いい作品やプレゼンをどれだけ制作できたか
個人内評価
質: コメントに対する信憑性
応: 生徒間の個の評価(3〜4時間に1回)
(茨城県)
質: 他教科との関連は
応:
特にやっていない。総合的な学習との関連はやっていかないといけない。
質:
発展的な内容の実践
上越教育大付属中学  他教科との合併
科学技術科(+理科)情報活用科(+国語)
W 指導講評
千葉県教育庁東上総教育事務所
         菅藤 孝  指導主事
(授業について)
・2年間にわたる研究の取り組み、大変すばらしかった。
・研究をまとめると研究主題にどこまで到達できたか。
・研究仮説である段階的な課題設定、自己評価、教師の支援、基礎・基本の洗い出しなど、目標の実現・到達ができた。
・ワークブック基礎編、発展編など子供が使いやすいような手立てを考える。
・コンピュータを学ぶこと→コンピュータを使って問題解決能力を育成させること。
・GTは専門性を出せるといい。そういう意味で効果的であった。

千葉大学教育学部
           阿部 昌人 助教授
(授業について)
・Webページの作成は制作技術の向上を目的とし、どんなしくみで画像が動くのか理解させる事が大切。
・総合的な学習とのクロスカリキュラム。どこで線引きをするのか。TTの活用は好ましい。
・操作の手順だけを教えるのは意味がない。マルティメディアの特徴など目標、目的とした内容をいかに掘り下げて理解させるかが大切。

茨城県教育庁義務教育課
          平井 聡一郎 指導主事
(全体会)
・新潟県の提案について学びあいの実践
  ・Web上での学びあい
  ・マスター(生徒間)での学びあい
  ・グループ間での学びあい(ネットワーク)
  ・他校との連携  など
様々な場面で実践できる。そういった意味で新潟県の提案は大きなプロジェクトである。
・Webページ、プレゼンテーションの制作は作業的にとかく単調になりがちである。目的意識をもたせることと、伝えるための目的をはっきりさせること。
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